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ロレックスは本当に「値上げしすぎ」なのか?その人気と価格高騰の深層を探る

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ロレックスは本当に「値上げしすぎ」なのか?その人気と価格高騰の深層を探る

1. 悲鳴にも似た「ロレックス、値上げしすぎ!」の声

「また値上げ!?」「もう買えない」——近年、SNSや時計ファンの間では、ロレックスの価格改定に対するこんな悲鳴が相次いでいます。「正規店で買えない」「中古はプレミア価格」「転売ヤーに買い占められている」など、ロレックスを巡る環境は、かつてないほど過熱しています。

本記事では、「ロレックスは本当に“値上げしすぎ”なのか?」という声を冷静に見つめ、単なる感情論ではなく、その背景にある複雑な要因を紐解いていきます。

読むことで、ロレックスの価格高騰の実態と理由、そして今後どう向き合うべきか、ヒントが得られるはずです。

2. ロレックスの揺るぎない人気とブランド力

圧倒的な魅力:なぜロレックスはここまで人気なのか?

ロレックスは、単なる腕時計ではありません。「成功の証」「ステータスシンボル」「資産」としても語られる、特別な存在です。その理由は以下に集約されます。

歴史と伝統が築いた信頼

ロレックスは1905年、ロンドンで創業。その後スイスに拠点を移し、世界初の防水時計「オイスター」や、自動巻き機構「パーペチュアル」など数々の革新を生み出してきました。

優れた品質と実用性

全ての部品を自社で一貫製造する「マニュファクチュール」体制を築き、耐久性・防水性・精度のすべてにおいて高水準を維持しています。極限環境での信頼性の高さも、世界中のプロフェッショナルに選ばれる理由です。

時代を超えるデザインと所有の喜び

サブマリーナーやデイトナなどの人気モデルは、50年以上デザインを大きく変えていないにもかかわらず、今なお斬新で魅力的。まさに“永遠のアイコン”です。

リセールバリューと資産価値

ロレックスは「買っても価値が下がらない」「むしろ高騰する」という特殊な市場を形成。中古市場でも安定した人気を誇り、資産としての側面も強調されています。

3. 近年のロレックス価格推移と「値上げ」の実態

5〜10年で何が起きたか?定価改定の現実

ここ5〜10年で、ロレックスの価格は着実に上昇しています。たとえば、2020年のサブマリーナー(ノンデイト)の定価は約85万円でしたが、2025年現在では100万円を超えています。モデルによっては10〜20%の上昇率を記録しており、「値上げしすぎ」という声も無理はありません。

「正規店マラソン」とは?

ロレックスを正規店で買おうとする消費者が、都内や都市部の複数の店舗を回る様子を指して「正規店マラソン」と呼ばれています。それほどまでに、正規店での在庫が枯渇しているのです。

並行輸入と中古市場はさらに高騰

並行輸入市場では、定価に30〜100万円のプレミアが乗ることも珍しくありません。中古市場も高騰し、サブマリーナーやGMTマスターIIなどは定価を大幅に上回る価格で取引されています。

実勢価格と定価の乖離

こうした現状では、「ロレックスの定価はただの“目安”」とさえ言われます。人気モデルは、定価で手に入れるのがほぼ不可能な状況です。

4. 「値上げしすぎ」と言われる価格高騰、その背景にある複合的な要因

ロレックスの価格上昇は、一見すると企業側の「値上げ」戦略に見えますが、実際にはより多層的な事情が絡み合っています。

供給側の事情

1. 生産量の意図的な制限

ロレックスはあえて大量生産を行いません。年産100万本前後に抑え、希少性と価値を維持する戦略を取っています。これは「ブランド戦略」として極めて合理的です。

2. パンデミックによる製造・供給の混乱

COVID-19によって部品の調達や組立てに支障が生じ、2020年〜2022年の間は製造量自体が減少。その影響が今も尾を引いています。

3. 原材料費・人件費の高騰

ステンレススチールやゴールド、プラチナといった素材の価格が世界的に高騰。また、高度な技術を持つ職人への報酬や設備投資の負担も増しています。

4. スイスフラン高

ロレックスはスイスで製造されており、スイスフランの対円レートが上昇すると、日本での販売価格も自動的に上がる構造にあります。

需要側の爆発的な増加

1. 富裕層の増加と世界的需要

新興国を中心に富裕層が急増。中国、中東、インドなどの需要は年々高まっています。

2. SNSの影響とステータス志向の加速

インフルエンサーや著名人がロレックスを身につけて紹介することで、若年層を含めた「ロレックス欲しい」熱が一気に高まりました。

3. 投機対象としての注目

近年の低金利時代には、現物資産として時計や高級品への投資が活発化。特にロレックスは「リセールが安定」「値崩れしない」として個人投資家からの注目も高まっています。

4. 転売目的の需要

一部では、買った直後に数十万円〜百万円の利益が出るモデルもあるため、転売目的の買い占めも横行。これがさらなる品薄と価格高騰を生んでいます。

5. 消費者はこの状況をどう受け止め、どう行動すべきか?

価格に不満があっても「欲しい」気持ちは消えない

「もう買えない」と言いつつ、なおロレックスを求める人が多いのは、やはりその魅力が色あせていない証拠です。

賢い購入方法とは?

1. 正規店チャレンジの心得

まずは正規店での購入を目指すのが理想です。運や人脈、タイミングが求められますが、定価で買えるチャンスがあるのはここだけです。

2. 並行輸入や中古店を活用

信頼できる業者を選ぶことで、保証や状態に安心できる購入が可能です。プレミア価格でも「今後の値上がりを見越せば納得」という見方もあります。

3. 焦らず、見守るという選択肢

過熱する市場が冷めるまで待つのも一つの手です。価格が一時的に落ち着く局面は過去にもありました。

他ブランドという選択肢も

グランドセイコー、オメガ、タグ・ホイヤーなど、品質とデザインに優れた時計は多数存在します。「ロレックスでなければダメ」という思考から離れれば、選択肢は広がります。

趣味としての時計に立ち返る

投機目的や資産価値ばかりを追うのではなく、「本当に欲しいものを身につける」という原点を忘れないことも大切です。

6. 結論:ロレックスは「値上げしすぎ」か、それとも「適正価格」への道程か

確かに、ここ数年のロレックスの価格上昇は著しく、「値上げしすぎ」と感じるのは当然です。しかしその背景には、原材料費やスイスフラン高、需要の爆発、供給の戦略的制限など、複数の要因が絡み合っています。

冷静に見れば、ロレックスがそのブランド価値と需要に見合った価格に「調整」しているとも言えるでしょう。

最終的に、その価格に納得し、価値を見出すかどうかは個人の判断次第です。

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